実用的なツールであり、美しいアート作品でもある名作家具。
「名作家具調査隊」は、そんな名品の数々を見つけ出してご紹介する企画です。
モデルハウスに鎮座する名作家具
合志市にあるアンビーハウジングパーク。その入り口に入ってすぐ左側に、ロジックアーキテクチャ モデルハウスがあります。限られたスペースの中に強弱を作り出し、広さとバリエーションを心地よく引き出した、建築の力を感じられる空間です。今回は、このモデルハウスの中で優雅な雰囲気を纏い佇む、バルセロナチェアをご紹介いたします。

王様が座るための椅子
バルセロナチェアは、1929年のバルセロナ万国博覧会の時に生まれた椅子。バルセロナ・パヴィリオンの設計を担ったルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエが、スペイン国王夫妻臨席の為に用意したものです。まるで王室のペットのような、愛らしくも気品漂うこの一脚。一国の王が鎮座する為に作られたというのも納得です。

``Less is more``のミースがデザイン
ところでルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエといえば、ロジックでもよく言及する名言 “Less is more” や、“God is in the detail(神は細部に宿る)” でも知られる有名な建築家です。ル・コルビュジェやフランク・ロイド・ライトと並ぶ近代建築の三大巨匠の一人であり、かの有名な美術学校・バウハウスの第三代校長を務めた人物でもあります。彼のシンプルで美しく、かつ大胆なデザインは、今でも多くの人々を魅了してやみません。
さて、そのミースがデザインしたバルセロナチェア。美しくクロスした脚部を含む、クロームスチール製のフレームが、洗練されたモダンな印象を演出しています。そのフレームに寄り添うように作られたレザーのクッションは、華奢なフレームに大らかな威厳をプラス。シンプルで飽きがこないデザインでありながら、斬新さと重厚さも兼ね備えたこの椅子。まさに唯一無二の風格。その上手入れが容易で、占有する場所も最小限なのですから、もう頭が上がりません。

ミースが手がけた住まいは容易に堪能できませんが、椅子ならばその素晴らしさを誰でも間近に体感できる・・・。バルセロナチェアという名作家具を世に残してくださり、ミースさんありがとうございます。ありがたみを感じながらもたれかかったバルセロナチェアは、いつもより深い座り心地でした。
