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秋の夜は読書。

秋の夜は読書。

Hiroko Sonezaki

9月に入り、暑さも徐々に和らいできた今日。これから夜が少しづつ長くなってゆきます。1日の半分を占める『夜』という時間。暗く寂しく、物悲しかったり。静かで穏やかで、心が休まったり。長い秋の夜を、読書で楽しみませんか?

『猫を抱いて象と泳ぐ』小川洋子

Recomended by Hiroko Sonezaki

主人公の少年が、チェスをしながら、少年のまま大人になる話。

デパートの屋上遊園地に連れてこられて、降りれなくなり、そこで一生を過ごした象の話とか、バスに住んでいるおじさんの話とか、謙虚で愛おしい人物やエピソードがたくさん詰まっています。

明るく楽しく!元気よく!という感じではなく、物悲しく、寂しいけど、あったかい、そんな一冊。コーヒーを飲みながら、じんわり少しずつ読み進め、ちょっとずつ目頭を潤ませる。秋の季節にぴったりな本だと思います。

猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫)

『小さな平屋』

Recomended by Dai Hahimoto

表紙の自然の中に佇む平屋の写真が目に留まり、ジャケ買いしたのを覚えています。

この本の写真が僕はとにかく好き。
凄く綺麗、なのに絶妙に生活感が残っていて、普段の暮らしを想像できます。

最初は写真集のような感覚でパラパラと見ていましたが、しっかりと言葉でも生活を描かれているので読み物としても満足できるかと思います。

庭にはこの木を植えて、
土間はこれくらい広めで、
リビングから見える景色はこんな感じ、と未来の自分の暮らしの妄想が捗る一冊です。

小さな平屋。自然を感じる、すこやかな暮らし

『女に』谷川俊太郎

Recomended by Shinji Shimoda

先日、熊本市現代美術館で開催された『谷川俊太郎展』を拝観しました。回顧展と言っても良いほどの氏の仕事を網羅した展示でした。普段詩集を読むことはないけれど、なんとなく郷愁を感じ、後日書棚を探し氏の詩集を2冊見つけました。

1冊は大学生の頃、当時恋人に送った『女に』。初版は1991年。
“きりのないふたつの旋律のようにからみあう詩とエッチングの織りなす愛の物語”と、帯には書いてあります。絡み合いたかったのでしょうか。ウケる。

ところでエッチングとは、防蝕剤を塗布した銅版をニードルで引っ掻いて剥がすように描画し、硝酸水溶液などの腐蝕液に漬け込み溝を作り、そこにインクを詰め余分なインクを拭き取って、重いローラー台でプレスをかけ紙に絵を転写します。なんともまわりくどく痛々しくて、目にツンとくる根気のいる技法。それこそ大学の授業でも一通りやりました。

本書の挿絵は『100万回生きたねこ』の作者で知られる絵本作家・佐野洋子さんの手によるエッチング。軽やかな線描主体だけれど、軽やかな分、戯れのように気軽につけた男と女の引っ掻き傷を連想させます。恋愛は引っ掻き合い、腐食液の中で溝を深め合うことかも知れません。(なんてね詩人)。

今そんな風に感じるとは…、大学生の頃には思いもしなかっただろうな。それにしても、詩は言葉少なな分、点と点が結ぶ線は果てしなく自由。詩は時を隔てて、未来に過去を、過去に未来を想起させる。だからいつ読んでもいい。

年齢を重ねるときっと見えている景色が違うから、こうしてまた詩に出会えました。
そして本書は、妻と結婚したことにより、今は我が家の本棚に収まっているわけですが。

女に―谷川俊太郎詩集

『団地のはなし』東京R不動産

Recomended by Yukie Ohara
団地のはなし 彼女と団地の8つの物語

「窓の数だけ、物語がある」
帯のコピーに心掴まれて手に取った本。
菊池亜希子さん(大ファンです)、最果タヒさん(大ファンですpart2)などなど、嗜好に刺さる作家さんが参加されているのを見つけて即お持ち帰りが決定。装丁も可愛らしくって、重なる団地の影みたい。遊び心もきゅんポイント。

私は団地や古い集合住宅に浪漫を抱いているところがある(ドラマの見過ぎかもしれない)。もちろん、隅から隅までこだわりを詰め込んだマイホームも憧れるし、ギラギラの高性能デザイナーズマンションだって王様みたいに気分がいいだろうなあと思う。一方で少し古めかしい内装と量産型間取りの中で、各々の心躍る創意工夫を生み出す集合住宅にも面白味を感じている。

この本は、間取りのことから幼少期の思い出話、創作漫画に小説まで。様々な視点から「団地」を描く。わたしは仕事柄もあり戸建て住宅に触れることが多いけれど、たくさんの人が行き交う団地だからこそ、こういった多様な話が生まれるのだなあと思う。それもまた団地という存在の感慨深いところだし、同じ場所・違う時間で再生される十人十色のストーリーってとてつもなくドラマチックに思えてしまう。

毎日前を通るマンション。通りすがりのアパート。一部屋一部屋にいろんな人の思い出や考えが詰まってるんだなあと思うと面白い。うちから見えるあのでっかいマンション、あの中で今いったいどれだけの人が蠢いているのか…この壁が透明だったらどんな風に見えるのか…妄想してしまう。

わたしが今住んでいる一人暮らしのこの部屋。前はどんな人が住んでいたのだろう。少なくともこの4年間はわたしの物語しかないのでそろそろ部屋側も飽きているかもしれない。いろんな感情が相まって引越し欲が高まってきたぞ。

皆さんのオススメの本も、ぜひ教えてください!
#秋の夜は読書 で募集しています。
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