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PH5 | 名作家具調査隊

PH5 | 名作家具調査隊

オオハラ ユキエ
Louise Poulsen PH5

手仕事を照らす。

食卓を輝かす。

眠りを誘う。

朝、差し込む太陽の光の尊さを知る。

光は人生に表情を与える。

 

照明選びは人生の深度を

大きく変えると思うのです。

Louis Poulsen PH5

北欧を代表する照明デザイナー、ポール・ヘニングセン。

照明文化が未熟な頃、多くの技術者が、明かりで夜を昼に変えるという夢を持っていました。一方でポール・へニングセンは、夜と昼のリズムは我々の身体に必要なことであると考え、そういった夢を実現することに反対していました。彼の主張は「照明は人体にとって自然な明かりをもたらすべきである」ということ。彼の考察は現代の照明文化に多大なる影響を与え、”近代照明の父”とも称されています。

代表作は自身のイニシャルを冠した「PHシリーズ」。そう、今回の”名作”は、1958年の発売以来長年にわたり多くの人に愛されてきた「PH5」。特徴的なフォルムが印象的で、どこかで見たことがあるという人も多いのではないでしょうか。プロダクトとしてのデザインが美しいことはさることながら、室全体を穏やかに照らす心地良さはこの上なく、名作が名作たる由縁でしょう。

Louise Poulsen PH5

「対数螺旋」と呼ばれる

曲線を採用したシェード

PH5が追求したのは「良質な光で自然に室内を照らす」こと。落ち着いたトーン、柔らかな光。光の反射と陰影が美しく、金属のシェードはどこか透けているようにも見えます。

特徴的なフォルムを形作っている、3枚に分かれた”傘”には、必要な場所に必要な量の光を導くため、「対数螺旋」と呼ばれるカーブが採用されています。実はこの曲線こそがPH5の優秀な性能を決定づけている秘密。

反射する光の導線は研究し尽くされ、照明としての性能はもちろん、プロダクトとしての美しさも引き出しています。この形があるからこそ、全ての機能美が生み出されているのです。

Louise Poulsen PH5

巧みに隠された電球

“照らす“という行為は光を当てればいいというわけではありません。距離が近すぎたり、光が強すぎたりすれば、眩しさによる不快感を引き起こします。

PH5のシェードは電球を包み込み、私たちの目に電球の光が直接入ることがありません。空間を照らすのはシェード部分に反射した間接光。

そんなことして暗くないの?という印象を持たれる方もいらっしゃるかもしれません。でも大丈夫。一枚一枚の傘は、卓上のモノ、それを囲む人、空間を美しく照らし出すよう研究を重ねられたもの。一般的なランプシェードと比較しても、遥かに明るく、そして心地よく、空間を満たします。

Louise Poulsen PH5

PH5ならではの優しく温かな光

PH5の一番の魅力は、空間の表情を和らげる、優しく温かな光だと思います。目指したのは、一日で最も美しい光。昼から夜に移ろう時間帯をイメージした「あたたかさと爽やかさを併せ持つトーン」です。

人の目は黄や緑の色に対する感度が高く、逆に赤や青に対して感度が低いと言われています。PH5のシェードの内側は赤や青に塗装することで、反射光の色をコントロールしています。こういった工夫のおかげで、”料理が美味しく見える”、”卓上の写真が綺麗に取れる”、”人の顔を美しく見せる”照明として名高いのです。

Louise Poulsen PH5

ポール・ヘニングセンがデザインした照明は200種類以上。その数は「人にとって良質な光」の追及への想いがあってこそ成し得たものでしょう。陰影、グレアレス、色の再現、といった事項の考察は、今でもルイス・ポールセン社の照明づくりの基準となっています。その技術の結晶とも言える「PH5」。この機会にぜひゆっくりと眺めてみてはいかがでしょうか。

Louise Poulsen PH5

Designer

Poul Hennigsen(1894-1967)

デンマーク・コペンハーゲン生まれ。作家、評論家、建築家、デザイナー。近代照明のルーツといわれ、世界の照明デザインに大きな影響を与える。

Poul Henningsen
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