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熊本県立美術館(本館)/ 萌える建築

熊本県立美術館(本館)/ 萌える建築

オオハラ ユキエ
  • 建築ってなんだかカッコいい!だけどどう見ればいいのかわからない…と、嘆き迷える子羊たちへ。名建築がなぜ名建築たるかを解き明かす、萌える建築コーナー“萌え建”の誕生です! 第1弾は「熊本県立美術館」。建築家前川國男が残した美術館建築の“到達点”として知られる代表作です。
  • PHOTO & WORDS & TITLE DESIGN by Yukie Ohara
  • RESEARCH by Keishi Iwamoto,Tatsuhito Yamashita,Kiko Hirano,Yukie Ohara
萌える建築/熊本県立美術館

今回の建築家

前川國男
(1905~1986)

東京大学で建築を学んだあと、渡巴里。ル・コルビュジェのもとで学び、近代建築の精神とノウハウを吸収。機能美に満ちたヨーロッパ建築の精髄を日本の風土の中で具現化した。熊本には、熊本県立美術館本館・熊本県立劇場の2つの前川建築が存在。

熊本県立美術館は、熊本城二の丸広場に隣接する。芝生の広場を挟んだ反対側には、熊本城の天守閣がそびえます。建築予定地を訪れた前川は、熊本城の生み出すロケ―ションの素晴らしさに驚嘆。この地に建つ美術館は「あたかも以前からそこに存在しているような様態であるべき」と考え、

  1. そこにある現在の樹々は、蘇生させること。
  2. 建物の高さを抑制させること。
  3. 環境に融合する素材を選ぶこと。の3つの条件を課しました。

あくまで「主」は熊本城で、美術館は「従」。外観は控えめに。しかし館内に入ると印象は一変します。大きく抜ける窓からの景色は、隣接する熊本城の敷地と繋がるよう。差し込む光とも相俟って、とても厳かで華やかです。どこを切りとっても「カッコいい」完璧な設計と施工。熊本が誇るべき、理想の建築です。

空間を階段で区切らないよう、手すりの腰には強化ガラスを使用
空間を階段で区切らないよう、手すりの腰には強化ガラスを使用
丸みを帯びる建築は光が這う。渡り廊下の下部も、大きな柱も、緑を建築内部に引き込んでいる
丸みを帯びる建築は光が這う。渡り廊下の下部も、大きな柱も、緑を建築内部に引き込んでいる

館内に入れば整然と連続する格子梁(ワッフルスラブ)の高い天井に圧倒されます。精緻な型枠が作られ、正確に施工されています。上質なコンクリート、一流の設計者と職人さんによる秀作。熊本地震でもびくともしなかった理由は、完璧な設計と施工にあるのかも。

館内外に続く天井梁が、広がりのある空間をつくる
館内外に続く天井梁が、広がりのある空間をつくる

前川が1950年代に考案した「打ち込みタイル」工法。コンクリートの下地に直接タイルが打ち込まれています。タイルがはがれにくく、後々のメンテナンスが簡単。土素材のタイルで覆った外壁は、その姿を潜ませるかのように控えめに存在しています。

この部分の為のL字タイル。奥の天井の色は“有明海の夕陽の色”
この部分の為のL字タイル。奥の天井の色は“有明海の夕陽の色”

二色網代張りの床。床の高さが変わるところで張る方向も変えられています。タイルが整然と並び、床のタイルと壁の巾木タイルとが揃っているなど、隅々まで美しい。

目地が切り替わっている!→後で施工されたもの?さながら建築探偵団
目地が切り替わっている!→後で施工されたもの?さながら建築探偵団

熊本県立美術館(本館)

設計:前川國男建築設計事務所
構造:横山建築構造設計事務所
施工:間組
竣工 昭和51年(1976)1月31日
DOCOMOMO選定建物

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